もっとVTuberの歌を聴いた

前回、「バーチャルYouTuberが流行ってるらしい」なんて外野根性まる出しで、チャンネル登録者数上位100人くらいを調べて記事を書こうとしたんですよ。

そうしたら、色々と歌を聴いているうちになんだか楽しくなっちゃって、バーチャルYouTuberやその歌動画にすっかり愛着がわいてしまいました。

そういうわけで、バーチャルYouTuberの歌をさらに聴きました。その中でも「この人の歌をもっと聴きたい」と感じた方々の歌について、例によって覚え書きと、あと少しだけ応援できたらいいなということでオススメも兼ねて。

もし気になったバーチャルYouTuberがいたら是非チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

シエラ・ルーニス


【シエラが】可愛くなりたい【歌ってみた】

小説家になろう」発のメディアミックス企画およびクリエイター集団・Overideaのバーチャル受付嬢……でいいんでしょうか、英語もといブレシア語が母国語のシエラによる、ちょっと舌が足りてないのが愛おしい『可愛くなりたい』カバー。心をくすぐる声なのに何故かツルっと聴けちゃえて、そのくせ落ちサビからの流れが感動的。

「なりたい」を抱えた存在っぽさを声質がうまく演出していて、歌声に存在感があります。オリジナルの映像をほぼそのまま使っている点は少し惜しい気もしますが……

これって例えば言葉の発音がより正確で活舌がより良かったなら、より人を感動させられる歌になっていたかというと、必ずしもそうとは限らないわけじゃないですか。そういう、歌というものの難しさや面白さを思い出させてくれる動画でもあります。

 

Overidea公式/Cierra Channel - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCupCAZz1l52vV8m-dvaoBVQ/

Twitter
https://twitter.com/CierraRunis

 

 

 

天音マホ


【あーどっこい!】白金ディスコ歌ってみた!

ハイクオリティなのに薄味な動画が魅力の落ちこぼれ魔法少女・天音マホによる、『白金ディスコ』カバー。声を聴くだけで外見そのままのアホ可愛いキャラが想像できて、その声のままで上から下まで歌っちゃうのがかなり最高です。

自分はどうしてもバーチャルYouTuberの歌をキャラクターソング的に捉えてしまうところがありますから、キャラクター造形と歌声に一貫性があるとグッと引き込まれます。声の作り方が腑に落ちて気持ちいいです。

前の記事に「バーチャルYouTuberには映像面で損してる歌動画が多い」みたいなこと書いたんですけど、彼女は今ある動画でいえば何方かというと得している側のような印象を受けました。そういうとこも含めて、要注目です。

 

Amane Maho / 天音マホ - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCH9DjwkMq9P6yGioc0-NaJg

Twitter
https://twitter.com/amanemaho

 

 

 

千条アリア


パズルガール 歌ってみた【千条アリア】

イチオシ。幕張メッセライブを夢見るエルフのバーチャルシンガー・千条アリアの『パズルガール』カバーは、聴いていたら飲み込まれそうなハマり具合。

初めて聴いた瞬間「あ、これだ」って思いました。

音符の長さの感じ方が好みなのと、力の抜き具合が奇跡的に絶妙なのと、頭からラストにかけての流れがうまく作られているのと……なんて一応備忘録のつもりだから書いちゃいますけど、これが紹介記事だったなら「多くは語らないからとにかく聞いてくれ」とか言いたいところ。

 

千条アリア -Aria Senjyou- - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC8UZk3EE_LPxWNyQ7RUDCYA

Twitter
https://twitter.com/AirontheString

 

 

 

魚住チカ


ワールドアパート/魚住チカ(cover)

まつだひかり先生デザインで邦ロックをカバーするバーチャルギターボーカル、って時点でもうだいぶ良さがありますがもちろん歌声も好きです。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの有名曲『ワールドアパート』カバー。

あんまり明るくなくてキュートな声が、曲調も相まって胸を突き刺すようです。あるいはこの感情的になりすぎない歌い方で、バーチャルの立ち位置から『ワールドアパート』を届けることに何か示唆的なものを感じ取ってみても面白いかもしれません。

原曲と結構イメージ違いますから「この曲はゴッチ*1の荒い声だから良いんだよ」なんて言う人も居るかもしれませんけど、そもそも原曲の良さなんてカバーしている時点で魚住チカが知らないはずなくて、原曲が良いなんて話は当たり前で。その上で、カバーアーティストが原曲から何を感じてどう表現しようとしているかとか、原曲から歌い手が変わったことで曲の伝わり方がどう変わったかとか、そういうのを読み取っていくのがカバー曲の醍醐味かなと思います。この動画に限った話ではないですが。

 

魚住チカ - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCWag0Eh8hcAgVEL-4i1MggQ

Twitter
https://twitter.com/UozumiChika

 

 

 

 

以下余談

 

バーチャルYouTuberの歌動画を探す中で、Twitterまとめサイト等でよく見かけたのが「歌うまVTuber」という言葉でした。歌うま。

いや、わかるんですよ。自分に真似できない歌やなんだか凄い歌を歌っている人に対して「うまい」と言いたくなるのは何もおかしなことではありませんし、ある歌を自分が好きな理由を考えようとしたとき「うまいから」ということにしてしまうと楽ですから。

 

けれど実際、歌の上手下手というのは結構わかりにくくて複雑な概念です。というか、歌のうまさを決めるための項目(たとえば有名なところだと声量とか、ピッチの正確さやリズム感などでしょうか?)が無数にある以上、単純に誰々がうまいとかうまくないとか論ずるのはちょっと難しいところ。

あなたの歌唱力は100点満点中何点ですと採点できるものではないですし*2、「歌うま四天王を決めよう」とか「歌唱力ランキングを作ろう」なんて話になれば意見が割れるのが容易に想像できます。誰かについて「歌がうまい」と言うのは殆ど何も言っていないようなものかもしれません。

 

ならどうして我々は歌のうまさとか歌唱力とか論じたがるのか~~みたいな話は長くなるしもっと他の詳しい人に訊いてほしいんですけど、とにかく歌の上手下手というのは絶対のもののように思えて、実のところ人それぞれ定義がバラバラのまま使っているから言葉にしたところで他人と何も共有できないし、それは人は歌のうまさなんてよく分からないまま歌を聴いていると言い換えることもできると思います*3

それはまぁつまり、人は歌の上手下手とは関係なく歌を好きになったり楽しんだりできるんだっていうごく当たり前の話に繋がるわけですが、でもやっぱりそれって重要なことで。

歌を味わう上で、歌のうまさではない魅力に目を向けてみるのは結構面白いと思うし、数千人いると言われるバーチャルYouTuberの中で、ある一人を好きでい続けようとか誰かにオススメしようとか思ったら、そういうアプローチも必要なのかなという気がします。

 

もちろん適当に「うまい」と言ったところで別に問題は無いし、「歌うまVTuber」という言葉のインパクトで界隈を盛り上げるもそれはそれで良くて、ただそんなに「歌うま」を信仰する必要は無いし、他の人が言う「歌うまVTuber」を真に受ける必要も無いですよみたいなことが言いたかった。なんかバーチャルYouTuberあんまり関係ない話になってしまいましたが。

 

 

 

上で挙げた以外にも素敵な歌を歌っているバーチャルYouTuberは何人も居て、たぶん自分がまだ見つけきれていない人もかなり多いだろうと思うのですが、とりあえず自分が文章をなんとか書けるくらいには知っていて聴いている範囲でということで。

共通しているのは顔が良いことと自身の声を活かせるような音域の曲を選んでたりキーを設定してたりすることでしょうか?

最初は興味深さから覗いていただけだったはずのバーチャルYouTuberの歌が、気付けばすっかり自分の趣味になってしまいました。これからも他の音楽と並行して聴き続けたいですし、だからどうか皆さん歌い続けてほしい……

 

"バーチャルYouTuber音楽" は、たとえば "アニメソング" がアニメに関わっていればどんな曲調でもどんな楽器編成でもアニメソングであるように、バーチャルYouTuberが携わっているということ以外には音楽性についての制約が無いジャンルです。

バーチャルYouTuberそのものに興味の薄い人に対しては「バーチャルYouTuber音楽の面白いところはここだよ」と言える共通項がなくてオススメするのは難しいのですが、ただ何せ今これだけ話題ですから、自分みたいに野次馬精神で足を踏み入れる人は少なくないだろうし、そういう人がうっかり好みの動画を見つけてしまう助けになればなというところで。一度興味を抱いてしまったら、この制約の無さ、自由さがそれはそれで楽しいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:ASIAN KUNG-FU GENERATIONのVo&Gt、後藤正文

*2:あえて採点するとしたら個々の細かい項目についてということになると思いますが、どう項目分けするかがまず採点者次第なわけで、歌唱力という総合点を出すことにはあまり意味は無さそうです。

*3:実際には、歌の上手下手をかなり高いレベルで理解できる人というのも居るのでしょうけど、そういう人達は歌のうまさについて誰かと共有しようと思ったときに言葉選びには気を遣うんじゃないかな~と思います。