ハニプラ4thというかエビストの話

 エビストこと 8 beat Story♪ の4度目のライブ、8beatStory♪ 8/pLanet!! 2nd Anniversary 4th LIVE「On the pLaNET!!」に行ってきました。

 1st Anniversary と銘打っておきながらアプリのリリースから1年半とかいう時期に行われた 3rd LIVEと違って、今回は 8 beat Story♪ と 8/pLanet!! (ハニープラネット) の2周年に合わせた開催日程。場所は Zepp DiverCity

 

 

 どこで言えばいいのか分からないので最初に書いておくのですが今回、エビストの軸ともいえる主人公ユニット・8/pLanet!! やアプリゲームに関する告知は一切ありませんでした。

 エビストといえば告知、告知といえばエビスト、もはや告知そのものがエンターテイメントなどと言われるエビストにおいて、大きな舞台で告知ナシというのはかなりショッキングな出来事です。

 その一方、今回「乱入」という形でライブパフォーマンスを初披露した新ユニット・2_wEi (ツヴァイ) の単独ライブが開催されることが発表されました。この 2_wEi というのはアプリのストーリーで今のところ、8/pLanet!! とはライバルというよりももう少し明確に敵対するに近い立ち位置で絶賛ストーリーを掻き回し中の、我々「先生*1」としてはあまり気楽に構えてはいられない存在です。

 そんな 2_wEi のライブだけが発表というのは、もちろん 8 beat Story♪ というコンテンツに今後も大きな展開があるという喜ばしいことではあるのですが、しかし今まで 8/pLanet!! を応援してきた身としては、8/pLanet!! が希薄になっていくかのようなこの状況はまるで「2_wEi がストーリーを掻き回す」というのがアプリ内だけでなく現実にも侵食してきたかのような気分にさせられるものでした。

 

 ……なんて書くとなんだかエビストを批判したいみたいに見えるかもしれませんが違うんですよ全然そうじゃないんですよ。信者と言われるかもしれませんが、むしろここで「だからエビストはすごい」って話をさせていただきたいんですよ。

 というのもこの状況、「ここで一旦ハニプラを苦境に立たせておけば後で感動できるやろ?w」とか「今はハニプラはええわ、時代は 2_wEi!w」みたいな運営の軽いノリのために起こってしまったものでは決してなく、8 beat Story♪ の作り手がかなりマジに現実とアプリの物語のリンクを狙った結果なのではないかと思えたんです。言うなれば体験型コンテンツ。時代はバーチャルリアリティ

恐らくエビストや 4th LIVE についてのブログで5万回くらい引用されているツイート。たった150字程度の、けれど何よりも確かで信頼できる道しるべ。 

 

 なんでそんなことが言えるかって、それはやっぱり今まで 8 beat Story♪ が信じるに値するだけのものを、音楽を、物語を、体験を提供してきてくれていたからです。ですから今エビストを褒めまくっている人達というのは、外野からはもしかしたらアホっぽく見えているかもしれないとも思います。この感覚を未だエビストを知らぬ人に伝えるのは、自分の口下手を抜きにして考えても少し難しいです。

 けれどそれでも、自分はエビストを追いかけたことをきっと後悔しないだろうと思えているし、できれば今からでもより多くの人にこの体験をしてほしい、8 beat Story♪ を楽しんでほしいと感じています。勿論、これまでエビストを追いかけてきたけど今回のライブで気持ちが揺らいでしまった人にも。

 

 

 4th LIVE について語ろうとするなら、まずは 3rd LIVE からの半年間の出来事を説明しなければならないと思います。といっても重要なことは (たぶん) 2つだけ、3rd LIVE 当日のことと、この半年間で行われたアプリのストーリーの更新についてです。

 

 この 8 beat Story♪ というアプリ、実はリリースされてからしばらくの間はストーリーの更新をあまり急がないゲームでした。2016年5月のリリース当時第5章までだったメインストーリーはそれから半年以上更新されず、2017年の7月に第8章を追加した後はまた半年ほど音沙汰なしといったスローペースで、とはいえ別にそれがダメというわけではなく、エビストとはそういうものなのだとファンものんびり構えることにすっかり慣れていたわけです。

 ちなみに追加された第6章~第8章は、8/pLanet!! のメイ杏梨彩芽というキャラクターにそれぞれ焦点を当てた内容でその質も高く、今後も同様にキャラ一人ひとりを深く掘り下げたストーリーが見られることを期待しつつもそれが何時のことになるかはさっぱり分からないという日々が続いていました。

 その状況が大きく動き出したのは2018年の1月、メインストーリーの第1章~第5章がリニューアルされることが発表。そしてその後、キャラクターの*2鈴音ほたるゆきなに注目したストーリーが立て続けに、本当に立て続けに追加されたんです。まるで 4th LIVEまでの道路整備か何かのように。

 そしてこの追加されたストーリーの中で、2_wEi のアルミミントも登場しました。ハードで格好良いオリジナル楽曲と、メインストーリー1章分くらいのボリュームを持ち 2_wEi を主役としたサイドストーリーの追加とを引っ提げて……

 そんなワケで2018年に入ってから 4th LIVE 前までの約4ヶ月は、エビストのアプリにとってまさに激動と言える期間でした。言うまでもなくそれはライブへの期待を高めるのに十分なものでした。そして今思えばこの怒涛の展開は、4th LIVE でファンにより衝撃的な体験をさせるための布石というか仕掛けでもあったのでしょう。

 

 そしてもうひとつ、11月の 3rd LIVE の中で、4th LIVE に向けて語られた言葉。もう半年も前の言葉ではありますが、アプリのストーリーの更新と、3rd LIVE を全編収録したBlu-rayの発売を受けて、4th LIVE の頃にはより実感のこもったものとして印象深くなっていた言葉。

今までは、先生達が私達をステージに連れて行ってくれてましたが、これからは、私達が先生をステージに連れて行く番です。Zepp DiverCity TOKYO まで先生、ついてきてくれますか?

次のライブはですね、2nd Anniversary の記念として、そして、私達 8/pLanet!! の勝負のライブになります。

  まぁこれらがどういう意味を持つ言葉なのかは実際に 4th LIVE を経てみるまでイマイチよく分かってなかったんですが。それでも 4th LIVE が何かしら重要な意味を持つライブになるんだろうなってことくらいは想像できます。特にこの「勝負のライブ」については Twitter でもファンの言及することが多かったように思います。

 

 そうやって迎えたライブで前述のように告知ショックが起こったのでした。気付いたらいつの間にか我々は 8 beat Story♪ の物語の中に居ました。この記事で伝えたいことは概ね以上で、以下はただのライブレポートです。

 ちなみにアプリの大規模な更新に対してリアルイベントの方は、全く無かったというわけではありませんが 2nd LIVE から 3rd LIVE までのそれと比べると幾らか控えめな回数でした。それにまで何か意味があったのかは流石に分かりませんが…… イントロクイズは胃が痛かったとか、3rd LIVE の衣装を間近で見られる機会があったのは感動したとか色々な思い出が勿論あるにはあります。

 

 

 4th LIVE 当日の2018年5月12日は特別寒くもなく暑くもなく、雨も降っていない中々の外出日和。思い返すと、渋谷のライブハウスという最も待ち時間に逃げ場のない会場で催された 1st LIVE のときが最も酷い大雨だった気がします。あとは1周年記念イベントとかリーディング企画とか……

 入場してすぐにフロア後方左右に設けられた小さなサブステージに気付くも、何故かそれがこの日のライブで使われるとの考えには至らないファインプレー。車の運転とかしちゃダメなタイプだと思う。3rd LIVE が生バンド編成でのライブだったため、4th ももしかしてと少し期待していましたが、ステージ上にはそれらしき機材はなし。これについては、あとでセットリストを振り返ってみれば納得なのですが。

 

 開演、恒例のオープニング映像。Blu-ray には Overture とか言って収録されてるアレ。うろ覚えですが今回はなんだか 3rd のときのそれとかなり近い作りだった気がします。エビストのライブに限らずですが、このオープニング映像というのはなんだか雰囲気があって好きです。

 ドキドキの1曲目は、8/pLanet!! の楽曲の中では最新、2_wEi を含めても最後にリリースされた方から2番目という新曲『Ecstasy』。EDMっぽい中にもギターの音が存在感を持ち、何より歌詞が気持ちいい名曲です。「無表情な世界に 飽き飽きしてるなら⋯」と聴く者を音楽の世界に誘うその様はまさしくライブのトップバッター。ステージ上の階段を下りるときの表情や脚の動きに緊張感があり、ライブの会場が大きくなっていることを早速実感させられます。

 2nd でも 3rd でもメンバー全員に新しい衣装が用意されてましたからなんだか感覚が麻痺しそうですが、今回も素敵な新衣装。全員が白や銀色を大胆に使った近未来風の格好で統一感はありつつも、それぞれのイメージカラーを使うだけでなくデザインも一人ひとり結構違っていて本当に凝られている……すごい…… 近未来っぽい衣装ってなんだかダサくなりがちだよなって個人的に思っていたのですけど、今回の 8/pLanet!! の衣装はスタイリッシュでありつつもゴテっとした可愛さもある、自分好みのバランス感覚のもので、まだライブは始まったばかりだというのにいきなり感動させられてしまいました。

 

 今回ぜひ聴きたいと思っていた『Error』、すっかり定番の『Count It Down』とダンスナンバーが続きます。単に曲がダンスというだけでなくて、8/pLanet!! はマジでフォーメーションダンスをやってくるので目にも楽しい。月額324円ことチョクメ!*3でも語られていましたが3曲続けて踊り倒している澤田美晴さんには尊敬の念を覚えます。金魚わかなさんのツインテールは異常なまでにキュート。

 3rd LIVE でバンドサウンドの曲を続けて繰り出してきたのとは対照的な開幕。そのへん意識して組まれていたのかも…… とか思っていたらなんと次の曲は 3rd で衝撃的に1曲目を飾った『Minus』。3rd と比べるとバンドを背負わないというハンデを抱えるわけですが、振付が少し増えていたりして前回とはまた違った魅力があり、曲がちゃんと大切にされていることが分かります。

 

 順番とかちゃんと覚えてないんですが、他のファンの方々が皆さんここでMCだったって仰ってるのでここでMCだったんだと思います。金魚わかなさん演じる杏梨のコール&レスポンス「センセ? 今日は~何しに来たの~??」「「お前に会いに来たんだよーー!」」は、初めて聞いたときにはバカなのかとも思ったものですが、実際にやってみると一発でエビストのライブに来た実感が湧く良いコール&レスポンス。いや外から見ればバカなんでしょうけど。でもこういうのは冷静になった方が負けだと思うし、何より「お前に会いに来た」というのはウソでも大袈裟でも何でもないので気持ちが入ります。

 コール&レスポンスで既に恐ろしく魅惑的な吉井彩実さん。和氣あず未さんは思いっきり掛け声を間違えてしまいますが、それでも許せてしまう可愛さと実力があります。

 

 『Outer Existence』は 8/pLanet!! の中でもかなりアイドルっぽい一曲、というのは自分の勝手な偏見かもしれませんが…… シンセばちばちの曲ってなかなか難しいのですが、この曲はメロディーラインと歌声の良さで初めて聴いたときからすっかり虜でした。

 ライブ終わる頃には脚がおかしくなってるんじゃないかと思いつつも全力で乗る。やはりこのコンテンツには青野菜月さんの歌が必要不可欠だと感じます。「ねえ 僕を消してくれ」と叫ぶ『Minus』から、「君だけが消せない」この曲に繋がるのも今思えばポイントだったかもしれない。

 やっぱりダンスミュージックな『Fuzzy N' Wonky』では、ガラッと雰囲気を変えて黒基調の衣装を着た3人がとにかく踊る踊る。目を見張るようなダンスといい格好良い衣装といい、いつかまた見られる機会を作っていただかないと幾らなんでも勿体ない……

 

 続けて『アカシックレコード』は我らが 2ndlifecrew 提供の大好きな曲。イントロの時点でちょっと感動で泣きそうです。しかし曲が始まってしばらく経つのに吉岡美咲さんも和氣あず未さんも出てこないな、なんてマヌケ面をしながら正面のステージを眺めていたのですが、ふと横を向くと例の左右のサブステージに2人の姿がありました。何が起こったかわからず一瞬反応が遅れましたが、特別な演出がこの曲のために使われたことにますます感動、近くで見る吉岡さんによる観客の盛り上げ方が相変わらず丁度良くてさらに感動。

 

 流石に 3rd LIVE のときのようにソロ曲が来たこと自体にそこまで驚いたりはしないが、それでも演出にしっかり驚かされた、吉村那奈美さん演じるほたるのソロ曲『源氏物語』。ステージ袖から現れたのはなんと巨大なDJブースを模したセット。巨大というのは高いんですよ、吉村さんの位置が高い、そこで何やらわちゃわちゃやりながら電波っぽい曲を歌う、それだけでとびきり可愛い。

 エビストの曲って意外とコミカルに振り切ることは多くありません。この曲ほど丸1曲通して遊んでる曲はなかなか珍しく、そんな曲を演るこの機会を逃してたまるかとばかりに、巨大なDJブースの前面にはコミカルに振った映像が流れます。歌詞中の掛け声だけでなくSDキャラクターなんかも映し出される映像は『源氏物語』ならではと思えました。

 曲が終わって、DJブースに乗ったままステージから捌けきるか捌けきらないかというところでまでオタクに手を振ってくれる吉村那奈美さんはいい人。というか、普段がいい人だからこそ何気ない行動も全部好意的に受け止めることができる。DJブースの移動に時間がかかるので、次の曲までにやたら間があったのは少しウケましたが……

 

 3rd でソロを2曲続けて演ったように今回も続けてもう1曲、吉岡美咲さん演じる月の『INFINIT3!!』はこれも気に入ってる曲。特にダンスチューンというわけではないのですが何故だか妙に振付が印象に残っている曲でもあります。

 月というキャラクターとリンクした曲で、メインストーリーの月に焦点を当てた章はまさにこの曲で描かれる彼女の姿に繋がるものです。そんなストーリーが追加されて間もなかったことは、ライブでのこの曲への没入に一役買っていました。

 この曲については、フルサイズ配信が始まったときの吉岡さんのツイートが記憶に新しいです。無限大の可能性を歌う吉岡さんと月の姿はキラキラしていて、その可能性を信じてみたいと思わされます。それはもしかしたら少しありきたりな言葉かもしれないけど、実際に音楽やパフォーマンスで人を驚かせてきた吉岡さんと月が言うと説得力があるものです。

 

 『INFINIT3!!』のあとにMCがあったのは流石に覚えています。この次の曲が何だったかを考えれば、忘れられるはずがありません。

 『Despair』、2_wEi のデビューを飾った、文字通り絶望の歌。8 beat Story♪ で各楽曲の意味をどれくらい読み込むかはファン個人に任されているところが大きいですが (そらそう)、この曲についてはアプリのサイドストーリーで語られたもの、そして 4th LIVE で自分達の感じたものがひとつの答えだと思います。

  ナナシスこと「Tokyo 7th シスターズ」で格好良さを証明済みの野村麻衣子さんは勿論、森下来奈さんも堂々としたパフォーマンス。会場で会ったオタクは森下さんの胸についてアツく語ってくれたのですが自分は気付きませんでした、特に下半身フェチというわけではなかったと思うが……

 

 野村と森下としてではなくキャラクターとしてのMCの中で発表された 2_wEi の 1st LIVE。それはきっと良いライブになるだろうし、目出度いことだと理解しているはずなのに、何故だかその理解を声援や拍手の形にすることが難しい。だって自分が今まで応援してきたのも今日 4th LIVE に来た一番の目的も 8/pLanet!! で、2_wEi は警戒すべき存在のはずで…… 思い返すと、自分はそのとき既に 8 beat Story♪ の物語に呑まれていたのだと思います。俯瞰的に無感情に見ることは許されないという感覚。

 混乱から抜けきらないうちに始まった 2_wEi の2曲目『UNPLUG』。いったい自分の身に何が起こっているのか分からないが、少なくともこの曲がイケててライブが楽しいという気持ちは本物でした。そのことが余計に自分を戸惑わせました。

 

 2_wEi が退場すると、何だったんだ今のは~といった 8/pLanet!! による寸劇が始まるようなことも特になく、ライブは再びハニプラ楽曲のターンに。しかもよりによってそこで繰り出された曲が『Toi et Moi』という、ハードでキュートで、ライブで演る曲としてかなり人気の高い盛り上がるナンバー。感情が追い付かないと思いました。追い付かなくてもとにかく楽しい。

 イベントで聴いた回数の多い曲というのはそれだけ思い出も多いです。激しいだけがハニプラの持ち味じゃないぜってところをもっと見せてほしい気持ちもあるんですが、それはそれとしてこういう曲が楽しいのも確か。親指や小指をそれぞれ立てる振付が可愛くて真似やすくて好きなのですが、我々オタクはバカなのでライブの極限状態の中ではたったそれくらいのことも時たま失敗してしまいます。

 

 『全部、君のために』は誤解を恐れずに言えば、重たい愛情の発露たるメンヘララブソング。今までイベントで一度も歌われていない曲の中では最も古く、待望の初披露でした。スクリーンに映し出される大量の「大好き」の文字の演出は、ジャケットイラストの仕掛けに気付いたときの衝撃を思い出させます。

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一見真っ黒な背景だが、明るく加工すると「大好き」の文字が浮かび上がる。メンヘラ検定3級過去問。

 

 曲の雰囲気に合わせて視覚的にも暗くなっていた会場が、次の『Sugar Sugar Bee』で一気に明るくひらける快感。『全部、君のために』とは打って変わって優しく可愛い曲調のラブソングではありますが、思わぬ言葉運びにドキッとさせられるような一面も持ちます。『Minus』が 3rd LIVE で印象的だった曲ならば、こちらは 2nd LIVE といえばこの曲、というやっぱり思い出深い1曲です。そうすると 1st LIVE を象徴するのは『BoyFriend』か『スクールディスコ』か……

 

 真に可愛く、センスがあり、そして何よりオタクから信頼されている声優さん——つまりは吉井彩実さんのことですが——というのは、ライブ中にダンスのなかで転びそうになってもやっぱり可愛いのだと思い知らされました。『BoyFriend』の中での出来事でした。

 自分はステージ上での演者さんの失敗が中々忘れられないタイプらしく、気にしていないつもりでも心のしこりとなって残っていたりするのですが、吉井さんについてはコケたことを惜しいと思うどころか、むしろライブの印象をより強烈なものにしたイベントとして大切な思い出にしたいくらいに感じています。

 左右のサブステージの2人ばかり見ていて、正面の3人には全く注意を払えていなかったので、映像化されたらしっかりチェックしたいと思う……と書きかけたところで、そういえば 3rd までのライブでは映像化の告知が恒例になっていたことを思い出しました。お決まりのパターンすらも破るあたりに 8 beat Story♪ の物語表現への本気が見えてきそうです。

 

 ステージに1人立ち他のメンバーが現れるのを待つ吉岡美咲さん。何を喋っていたか実はあんまり記憶が無い、というのもそのとき吉岡さんが着ていた、和服というか法被風の衣装 (!) にすっかり動揺してしまっていたので。

 8/pLanet!! の楽曲に和風衣装が似合うものはそれほど多くありません。『U・RA・RA』か、しかし吉岡さんの歌う曲といえばやっぱり……

 『おとめ☆de☆Night』はゲームで登場したときから、ライブで絶対楽しいと確信していた曲です。まさかこんな続けてラブソングを聴かされたあとに演るとは思っていませんでしたが。女の子とは一体…… 例のサブステージも使い、オタク達がそれぞれの推しのもとへと駆け出して行く。走り出せ心——。

 曲中のことも勿論よく覚えていません。

 

 『おとめ☆de☆Night』の前にライブも残すところあと2曲というアナウンスがあったので、次の曲でいよいよラスト。実は今までのライブの中では最多曲数だったのですが、それでも楽しい時間があっという間なのは変わりません。

 最後の曲の前に、再びスクリーンに映像が流れます。そこに映し出されたのは、キャラクター達からの想いを乗せた手紙。今までの歩みを振り返っての、先生に宛てた感謝のメッセージ。

 画面の半分にゲームのストーリーを切り取った映像を、もう半分にメッセージを流すというそれは、これまでアプリでストーリーを読み進め、リアルのイベントを追いかけてきた自分にとって、心を動かされるに十分なものでした。

 

 スクリーン半分に映し出されたゲーム映像は、メインストーリーで 8/pLanet!! のメンバーがそれぞれ壁を乗り越えたり成長したりするシーンのものでした。ストーリーを読み進める中で、先生として彼女達と支え合いながら歩んできた記憶が呼び起こされます。メイ、杏梨、彩芽、月、鈴音、ほたる、ゆきな、……

 最後の一人、8/pLanet!! のセンター・社本悠さん演じるひなたからのメッセージの隣に映ったのは、ひなたが壁を乗り越えるだなんてそんな素敵なシーンではありませんでした。だってそんなにも先生がひなたの内面に踏み込む場面は、今のところストーリー中にありません。

 アプリ内で今読めるメインストーリーの最後の最後、第10章13話で、ひなたは 2_wEi のアルミから、8/pLanet!! における自身の存在意義を問われます。作中ではひなたがどんな答えを出したかどころか、問いを受けてひなたがどのように感じたかすらも未だ描かれていません。他のメンバー7人が立て続けに一歩前に進む中で、ひなただけはこの先どうなっていくのか分からないという状況で 4th LIVE の日を迎えていたのでした。

 スクリーン上でメッセージの横に現れたのは、そんなアルミとひなたの2人の姿。当然、アプリ内で出せなかった答えがその場で出るはずもありません。ひなたの表情が目に焼き付いています。

 

 『BLUE MOON』は最近アプリのストーリーにも登場し、ライブでも大切に歌われてきた大切な歌。「これからもずっとよろしくね」「共に進もう」と歌う優しいはずのその歌が、なんだかいつもよりもずっと緊張感を持って聞こえました。

 3rd LIVE までは、作中でプレイヤー達が戦う相手の存在はほとんど目には見えていませんでした。また 8/pLanet!! の歩みも、アプリ・リアルともに中々順調であるように見えました。『BLUE MOON』という曲は、ライブでの扱いや歌詞などからなんとなくその立ち位置が察せられてはいたものの、この曲の原型らしきワードがコミカライズに少し登場したほかには具体的にストーリーに絡んでくるものではありませんでした。

 3rd から 4th までの、何気なく過ごしてきたつもりの半年間で、その状況は大きく変化していたんです。『BLUE MOON』はメインストーリーにはっきりと登場し、鈴音の口から「これからライブバトルで、みんなの力になる為の曲」だと語られました。2_wEi が参戦したストーリーは、ひなたにとって重大な出来事になるかというところで止まっています。

 そんな中で聴いたこの曲が今までと一味違って見えたのは、単に声優ユニットとして 8/pLanet!! が成長したからというだけではなかったと思います。キャストやキャラクター達との、作品との、音楽との向き合い方が自分の中で変化させられているのを感じました。今考えてみると、それも 8 beat Story♪ というコンテンツのやりたかったことなのかもしれません。自分が今体験しているものの異様さに驚いたまま、ライブ本編は終わりました。

 

 アンコールは絶対来るだろうと思っていた『スクールディスコ』に、絶対来ないだろうと思っていた『DREAMER』。「夢見ルガール」の言葉に思わず崩れ落ちるオタク。『DREAMER』を楽しみにしていたオタクの人に、絶対に来ませんよと自信満々に言ってしまっていたので、後で土下座しました。ぺと~。

 3rd LIVE に引き続き、楽しかった一日を締めくくるのはアルバム限定収録曲の『Days』。優しい曲調の中に、音楽の力を感じさせられる曲です。MCで一人ひとり挨拶をしたりすることも無くフワッと終演。お疲れ様でした。

 

 

 ライブを通して感じたのはやっぱり、8 beat Story♪ がどれだけ 8 beat Story♪ を大切にしているかということ。8 beat Story♪ らしさを伝えるためにどれだけ命を燃やしているかということ。

 キャラクター、ストーリー、楽曲…… 何れかひとつの要素をないがしろにすればそこから綻びが広がって、物語にかかわるあらゆる要素が崩れていきます。だから全部大切にする、そしてそれを証明するかのように全部大切にしたライブをやる。それはきっと簡単なことではないのでしょう。けれど 8 beat Story♪ はそれを本気でやろうとしてるからこそ、ファンは引き込まれます。そこまでやるからこそ、コンテンツに一貫した物語が感じられて、ファンは自分達がその物語の中に居るように感じることができます。

 

 心が動くのって楽しくないですか? 自分は今、8 beat Story♪ に心を動かされるのがとんでもなく楽しいです。

 

 

 

 

*1:アプリ内でプレイヤーは、8/pLanet!! のメンバーも通う学校の「先生」となってキャラクター達を支えるという形で関わっていくことになる。現実のライブイベント等でも 8/pLanet!! のファンはキャストから「先生」と呼ばれる。

*2:月と書いてあかり、まばゆいくらいのキラキラネーム神楽 月(かぐら あかり)。個人的には月というキャラクターもその名前もとても好きだが、文章にするときは厄介この上ない。そういうところまで含めて愛おしくもあるナイスなキャラクター。

*3:月額324円で声優・アーティストから直(チョク)にメールが届くサービス。8/pLanet!! のメンバーでは青野菜月さんと澤田美晴さんのチョクメ!を購読できる。特にリアルイベントの後は新鮮な感想を聞くことができたり、そうでないときでも何気ない日常のメールが意外と面白かったりする。